検査技師の採血業務について
−採血業務の効果と問題点について−

国立習志野病院 研究検査科 川鍋雄司

 採血業務は、医療行為として針を刺すことから苦痛を与える業務であり、患者にストレスを与え、技師自身も危険やトラブルに遭遇する機会が多い。その反面、検体検査は採血から始まるため、総合的な精度管理に役立ち、これによって得られる正確な結果は、臨床への貢献にもつながる。
 採血業務の効果と問題点について以下の点を中心に考察する。

1、採血業務の効果について
 1)当院採血室の導入の目的・構成
 患者サービスを前提とした業務拡大と精度向上およびリアルタイム化される診療体制への貢献を目的とし、1年間の準備期間を経て、昭和63年にスタートした。
 採血室は、尿一般(血糖検査含む)検査室とワンフロワーになっており、一般業務は技師1人、採血受付は検査助手(以下助手)1人、採血は技師1〜2人(午前中や混雑時は2人)で対応している。受付にて依頼伝票に応じた試験管のラベルを作成し、氏名を確認する。採血時に再度氏名・検査項目等を確認し採血を行う。この確認が精度管理の第一歩である。
 2)採血業務の手順と注意点
   マニュアルを作成し手順を追って説明し、その際の注意点やコツについて述べる。
 3)緊急時の対応と外来診療科の連携
   緊急時の採血室の対応や連絡体制などについて述べる。
 4)以上を把握し、採血業務の効果について考察する。

2、採血業務を中心とした検査技師に起こり得る諸問題・医療事故について
 1)諸問題・医療事故に対する対応と法的解釈知識を養い、技術を磨いても事故は起きてしまう。それが、突発的な場合やちょっとした気の緩みなど、様々な要因が考えられる。例えば、患者側からの事故として「採血後ひどい内出血になった」また技師側からは「針刺し事故を起こしてしまった」など実際に起こり得る。業務中どのような問題や事故が起こり得るのか、その時の対応や法的な解釈について考察する。
 2)患者とのコミュニケーション方法
 採血業務は、患者とのコミュニケーションも重要である。精神的緊張は、血管を収縮させ採血し難くなるため緊張をほぐす対応が必要である。また1回で採血できなかった場合、対応によって、2回目は拒絶されたり、逆に快く採血に応じてもらえたりと業務の明暗を分けることもあり得る。診察室で聞けなかったことを採血室で聞いてくる患者もいる。診察室に比べて声をかけ易いからである。こうした様々な患者の対応について考察する。
 今回、技師が行う採血業務の効果や有用性について述べると共に、諸問題を広く取り上げ考察する。