第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

ELISA法による抗核抗体検査( Mesacup ANA )導入後の評価

 

○田村   黒澤 秀夫  堂満 憲一 (東京慈恵会医科大学附属柏病院)

 

【目的】

近年ELISA法による抗核抗体検査が開発されたが、対応抗原が限定されていない間接蛍光抗体法(IF)と、対応抗原が限定されているELISA法では結果に不一致が生じる可能性があるため移行が難しい状況である。当院では平成9年にELISA法を導入し順調に運用している。そこで、当院でのELISA法の導入方法および導入後の評価について報告する。

 

【対象および方法】

ELISA法について評価するため、当院受診患者でIF法陽性165例についてELISA法を用い測定した。IF法はフルオロHEPANAtest(MBL)を用い、ELISA法はMESACUPANAtest(MBL)使用し全自動EIA測定装置MAOS-2により測定した。また、ELISA法導入にあたって、導入当初はIF法との併用(ELISA法陽性時IF法実施)という形をとり、ELISA法による結果が浸透した時点でELISA法のみに切替える方法をとった。

 

【結果】

IF法陽性165例中ELISA法陽性が153例で、検出率92.7%であった。疾患別検出率は、SLE96.9%、SjS92.3%、PSS91.7%、MCTD93.3%であった。また、ELISA法導入後の臨床側の反応は、切替え当初は戸惑う医師もいたが、IF法併用ということもあり大きなトラブルはなかった。現在では、ELISA法単独で検査しIF法の結果が必要な場合は外注で対応している。

 

【考察】

ELISA法による膠原病の検出率は92.7%と良好な結果が得られ、IF法から移行しても何ら問題ないと思われる。また移行方法に関しても急にELISA法に切替えるのではなく、期間を決めてIF法を併用することで臨床とのトラブルを解消できると考えられる。

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