第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

頚動脈内膜中膜複合体(IMT)における動脈硬化危険因子の影響

 

○小澤さち子 若松智子 廣多康光 高橋雅之

並木薫(埼玉県済生会栗橋病院 臨床検査科) 

 

【はじめに】

虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患は死亡原因の上位であり、予防医学上、動脈硬化の程度を的確に評価していくことが重要である。今回、頚動脈内膜中膜複合体(IMT)の測定を行い、動脈硬化危険因子との関連を検討したので報告する。

 

【対象と方法】

当院通院患者84例(平均年齢53.7歳)について総頚動脈におけるIMTを測定し、種々の動脈硬化の危険因子(高血圧・喫煙・高脂血症・糖尿病)の有無について比較検討した。IMTの測定には東芝社製 Power Vision 70008MHzリニア式スキャンプローブを使用した。

 

【結果】

1.高血圧・喫煙・高脂血症・糖尿病それぞれの因子の有無においてIMTに差が認められたが、糖尿病の有無が最も強い因子であった。

2.各危険因子が重複するほどIMTは高値を示したが、糖尿病を含まない者より糖尿病を含む者の方がIMTの肥厚はより高度となった。

 

【まとめ】

動脈硬化は危険因子の重複により助長される事が知られているが、その中でも糖尿病の有無によるIMTの変化は最も大きく重要な因子である事が示唆された。今後、糖尿病患者の動脈硬化の指標に頚動脈超音波検査を行い、経過を観察する必要性があると思われた。

 

連絡先;0480-52-3611(内線 1813)