第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

自動染色装置MIDASを用いたグラム染色の検討

 

○大木まゆみ,三澤成毅,小栗豊子

(順天堂大学附属病院 臨床検査部)

 

【目的】

患者検体のグラム染色標本の鏡検は迅速検査として有用である。しかしながら,良い標本作るためにはかなりの熟練を必要とする。自動染色装置MIDASは,種々の染色を自動的に行うために開発された機器であり,グラム染色にも応用できる。そこでMIDASを日常のグラム染色に用い,その有用性を検討した。

 

【材料及び実験方法】

MIDASは一度に28枚の標本の染色が可能であり,染色から乾燥まで自動的に行う。スライドキャリアに標本をセットすると各液槽に2秒毎に自動的に上下し,染色,流水水洗,分別を行う。細菌検査を目的に当検査室に提出された尿,膿分泌物,喀痰などの各種臨床材料を用い,塗抹標本を作製,メタノールにて1分間固定後,乾燥してMIDASにて染色を行った。染色液はBartholomew & Mittwer変法(BM法;MERCK)とフェイバーGセットS(FG法;ニッスイ)を用いた。MIDASは染色時間,水洗,分別などの最適時間を設定した。その後同一条件で多数の塗抹標本を鏡検し評価した。

 

【結果】

BM法は良好な染色結果が得られたが,FG法は染色性が悪い場合がみられた(膿などの血液成分の多いもの)。染色時間もBM法は2分50秒であり,FG法は約4分要した。MIDASは色素液の長期使用が可能であったが,ルゴール液は2週間で,分別液は1〜3日で交換を必要とした。

 

【結論】

MIDASは染色液が節約でき,染色時間も短時間で済むことから,日常のグラム染色に有用性の高い機械であると考えられた。

 

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