第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

血液搬送システムにおける自動塗抹染色装置(SM-plus)の導入効果

 

○曽川一幸 竹下理恵子 糸賀栄 児玉明好 畠山靖子
 高木春枝 大山正之 大澤進 菊野薫 野村文夫   
(
千葉大学医学部附属病院検査部)

 

【目的】

自動塗抹染色装置SM-plus(ベックマン・コールター社)の基礎的検討および同一搬送上にある自動血球分析装置GENS(ベックマン・コールター社)との連携により、迅速化、省力化の可能性について検討したので報告する。

 

【対象および方法】

対象はNCCLS準拠、自動白血球分類評価法(H20-A)に従い、当院入院、外来患者200名(正常検体100、異常検体100)のEDTA-2K加血を用いた。SM-plus で作製されたスメアは、熟練技師2名による目視法(200カウント)で行い、GENSの成績と比較した。

 

【結果】

@SM-plusの基礎的検討

同時再現性(n=10):CV(平均±2SD)は好中球1.4%(56.8±1.6%)、リンパ球3.3%(33.8±2.2%)、単球16.8%(5.0±1.7%)、好酸球19.4%(3.7±1.4%)、好塩基球38.8%(1.0±0.7%)となった。血液塗抹条件: GENSHct値により6段階に選択されるため、その各々について検討した結果、滴下量、塗抹速度、角度とも適当な条件が設定できた。検体の持ち越し:WBC高値検体の後にWBC低値検体をサンプリングさせ塗抹標本を比較した結果、WBC高値検体でみられた細胞の混入は、まったく認められなかった。

A白血球5分類におけるGENS目視との相関

各相関は好中球 r=0.935、リンパ球 r=0.909、単球 r=0.673、好酸球 r=0.936、好塩基球r=0.081であった。

 

【結論】

SM-plusを搬送システムに導入することにより、従来の塗抹染色手技が省力化される利点は大きいが、個々の細胞についてはさらに詳細な検討が必要であると思われる。 

 

連絡先 043-222-7171