第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

分散型尿測定システムを用いた尿検査の精度について

 

○武田倫明、高橋尚美、浜中博子、須郷秋恵   
(
横浜市大市民総合医療センター、臨床検査部)
鈴木雅子(同看護部)

【目的】

平成121月、病院の開院に伴い、4病室トイレに分散型尿量、尿比重自動測定システムを導入。本システムは、患者の尿量、尿比重を自動的に測定、一部尿サンプリングユニットにおいて4%の尿をサンプリングするシステムである。4%サンプリング後、自動的に薬液、及び水洗いをする。サンプリングにより検査データに影響がないか検討したので報告する。

 

【方法】

@蓄尿した検体の一部をABCDのそれぞれのラインに200mlずつ流し、4%尿をサンプルとして採取。ラインを流さない尿と尿定性、尿定量検査を実施。

A蓄尿した尿の一部をABCDのラインに200mlずつ(n=7~8)流し、流さない尿(n=8)と有意差検定を行った。尿定性はクリニテック200+、尿定量はCX-3(東芝)及び日立760010にて測定。

 

【結果】

@4%蓄尿ユニット85台、340ラインで測定した結果、10%以上の誤差がみられたのは9ライン。整備後は認められなかった。

AABCDラインにおけるデータはラインを流さない尿とは有意差はなかった。B自動的に測定した尿比重と比重計では、比重計を用いたほうが低値を示した。尿の測定温度、及び尿量の影響と思われる。

 

【結論】

本システムは各病室にサテライトユニットを設置し、患者自身が測定した尿量、尿比重の測定値をネットワークで結ぶ共に、一部尿分注機構を導入することで、全尿の一部の採取が容易になった。4%分注でのクロスコンタミを比較検討したが、影響は認められなかった。しかし、ユニットの経年に伴う影響について今後検討する必要がある。

045-253-5750