第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

冠動脈疾患における高感度CRP(hs-CRP)測定の有用性

 

○中村和之 白井秀明 杉本徹(横浜労災病院)

 

【目的】

冠動脈疾患の原因として、動脈硬化の進行が深く関与していることはよく知られている。

 近年,欧米では動脈硬化と慢性炎症の関係が注目されている。今回、我々は慢性炎症のマーカーとして低濃度CRP(hs-CRP)と冠動脈疾患との関係を検討した。

 

【方法】

対象:当院で心臓カテーテル検査を実施し有意な狭窄を認めた139例(男性121例 女性18例 64.12±10.11歳)。健常成人15例(男性9例 女性6例)を対照群とした。 hs-CRP測定法:分析装置は、BNU(DADE BEHRING社)。測定試薬はN-ラテックス CRPUを用いた。なお、hs-CRPの検出限界は0.12mg/lとした。

検討内容:健常対照群と有狭窄群でhs-CRP値の比較検討をした。また、有狭窄群における病変数とhs-CRP値の関係を検討した。

 

【結果】

健常群(平均値±標準偏差:0.463±0.329 mg/l)と有狭窄群(2.292± 3.982 mg/l)の間で有意な差が認められた(P<0.01)。

また、病変数による分類は1枝病変が1.914±2.877 mg/lで、3枝病変が3.150±5.212 mg/lであった。

 

【考察】

今回の検討によりhs-CRPは、対照の健常群に比べ冠動脈疾患群で有意な増加が認められた。また、多枝病変ほど高値傾向が認められたことよりhs-CRP測定は冠動脈疾患の予測因子となる可能性が示唆された。今後さらに冠動脈疾患の初期診療や健康診断などに有用な検査とするためには、症例数を増やしカットオフ値を設定することが必要である。

 

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