第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

プラチナコイルPlatinum coilを含だ組織標本作製におけるミクロトーム刃の検討

 

○冨永晋(防衛医科大学校病理学第一講座) 広井禎之(同講座)
瀬野尾章(桐生短期大学看護学科) 河合俊明(同講座)

 

【目的】

日常よく用いられているパラフィン標本おいて人工的に挿入された金属を含んだまま組織標本を作製するには、包埋剤自体が柔らかくミクロトーム刃もそれに耐えられないため不可能である。今回我々は、組織に硬度を持たせるため樹脂包埋を施し、金属(Platinum coil)を含んだままの状態での組織標本を作製を検討した。

 

【材料及び方法】

解離性動脈瘤と診断され、血管内手術にて、Platinum coil塞栓術が施行された椎骨動脈を用いた。組織を緩衝ホルマリンにて固定後、約1.0p間隔に切り出しを行った。それぞれの組織を脱水し、hydroxy ethyl metacrylate(HEMA)にて親水性樹脂包埋を施した。薄切には、LKB社の回転式ミクロトームを用いた。ミクロトーム刃は、サクラ社替え刃式タングステンナイフとライヘルト社タングステンナイフを使用した。切片を伸展乾燥させた後、Weigerts method for elastic fibers(EVG染色)を行い、血管壁の観察を行った。

 

【結果】

ライヘルト社タングステン刃においては、組織への損傷は少なく、EVG染色により血管壁の状態および解離腔の形成等を容易に観察することが出来た。

 

【まとめ】

樹脂包埋した組織にタングステンナイフを用いて得た薄切は、パラフィンでは作製する事の出来ないPlatinum coilを含んだ組織標本を作製することが可能であり、目的の所見を充分に観察する事が出来る

 

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