第37回関東甲信地区医学検査学会2000.10.14-15

めまい検査における重心動揺検査の有用性

○齊藤広将 内海亨子 榎本博美 西澤京子 吉見登美子 荻野由紀子 白鳥道代 米坂知昭(済生会神奈川県病院検査科) 伊与田貴之(同耳鼻科)

【目的】
重心動揺検査は、直立時の足圧中心の動きから身体動揺を客観的、数量的に捉える検査で動揺の程度、性質、方向等を測定する。開・閉眼直立の差を調べ、平衡機能の総合判定に利用されている。今回この検査の評価を行うとともに診断効果を検討したので報告する。
【方法】
本検査の測定には日本電気株式会社製生理検査機能装置サイナパック2100EN2202を使用した。被検者には靴を脱がせ、検査台の中心と足底の中心を一致させて閉足で直立させ、検査台より2メートル先に設定した視標を直視させた状態で開眼にて60秒記録した。その後、椅子に60秒休ませ、同様の方法で閉眼検査を行った。また、解析は同機種の解析機能を用いた。
【対象】
1999年6月より2000年6月までの1年間に当院にめまいを主訴として来院した(入院・外来)患者49例、年齢18〜83才(男26例、女23例)を対象とした。このうち内耳障害と臨床的に診断されたものは23例(男性11例・平均52歳、女性12例・平均61歳)であった。また、当検査職員19名を健常者(男性9例・平均27歳、女性10例・平均34歳)として比較した。
【評価項目】
外周面積(ロンベルグ率)、単位面積軌跡長(ロンベルグ率)、動揺中心変位
【結果】
健常者は日本平衡神経科学会が報告している正常者測定値内であった。また、臨床的に内耳障害と診断された23例の平均値は、男女共に外周面積で健常者測定値の平均を超えた。
【考察】
本検査は被検者の状態が直接結果に影響する為、特異的な評価は困難であるがめまい診断の補助としては有用と考えられた。045-432-1111