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ルミパルスfによるHCV抗体弱陽性時の解釈と臨床への結果報告について  

◯吉本 晋作,川島 徹,川畑 貞美(順天堂大学浦安病院 検査科) 

[目的]現在,ルミパルスfを用いHCV抗体検査を実施している.しかしながらCOI付近での弱陽性例の解釈が問題となってくる.今回我々は,ELISA,イムノブロット法,イムノクロマトグラフ法,RT−PCR法による比較検討を行ない,その再検方法について一定の見解を得ることが出来たので臨床への結果報告のプロトコールを含め報告する.

[方法]平成11年5月〜9月の間に提出された検体の内,ルミパルスfにてHCV抗体弱陽性(COI 1.0〜20.0)となった117例を対象とした.ELISAV,RIBAV,クイックチェイサー(QC)のHCV抗体検査を,また23例についてRT−PCR法(コバス アンプリコア HCV)と比較検討を行なった.

[結果]ルミパルスfのCOI1.0〜2.0,2.1〜4.9,5.0〜9.9,10.0以上のグループとQCの一致率(陽性)は,各々13.5,61.5,76.9,100.0%であった.PCR法とは一致しなかった.また同じグループについてQCを基準としてELISAVとの一致率を調べたところ,各々90.0〜100.0%であった.さらにRIBAVとの比較では100.0%一致した. [まとめ]ルミパルスfのCOI 1.0〜2.0の検体では,他の抗体検査との一致率は非常に低く,非特異反応と思われる場合が多かった.QCは他の抗体検査との陽性一致率が非常に高く,特異性に優れた測定法であると考えられた.PCR法は抗体検査とは質の異なる検査であるため抗体弱陽性の検体一致率は低かった.以上のことから,ルミパルスfのCOI1.0〜10.0の検体では,QCを追加確認検査として,最終判定(コメント併記)とすることが妥当と考えられた.

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