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汎用自動分析装置を利用したβ2-ミクログロブリン測定の基礎的検討

○橋田裕子 工藤良子 吉田俊彦 大山里子 澤部祐司 大沢 進 野村文夫 (千葉大学医学部附属病院 検査部)

【目的】β2-ミクログロブリン(B2-M)は、腎機能障害や各種悪性腫瘍などの診断、治療経過の指標等として測定されている。今回我々は汎用自動分析装置を用いて、ラテックス免疫比濁法によるB2-M測定の基礎的検討を行ったので報告する。

【対象及び方法】(1)対象:当院検査部に提出された血清および尿検体 (2)機器:日立7170S形自動分析装置(日立製作所) (3)試薬:BMGラテックス(II)「生研」(デンカ生研)

【結果】(1)同時再現性:低,中,高濃度のプール血清およびプール尿を20回同時測定したところ、CVはそれぞれ血清で1.5,0.6,0.5%、尿で6.2,1.0,0.9%と良好であった。(2)日差再現性:上記検体を10日間測定したところ、CVは血清で5.5,1.8,1.1%、尿で10.5,1.4,1.1%であった。(3)共存物質の影響:干渉チェック・AプラスおよびRF(国際試薬)で検討した結果、ビリルビンFで18.7mg/dl、ビリルビンCで20.4mg/dl、溶血ヘモグロビンで480mg/dl、RFで530IU/ml、乳びで2780ホルマジン濁度まで影響を認めなかった。(4)プロゾーン:血清、尿検体ともに140mg/lまで認められなかった。(5)希釈直線性:血清で50mg/lまで、尿で13mg/lまで直線性が得られた。(6)他法との相関:本法(y)とRIA“β2-マイクロ・リアビーズ”(ダイナボット)法(x)との相関は、血清検体;r=0.991 y=0.931x−0.157、尿検体; r=0.991 y=0.982x−15.10 であった。

【まとめ】本法の再現性、直線性、他法との相関は良好で共存物質、プロゾーンの影響も見られなかった。従来のRIA法に比べ操作が簡便で、かつ測定時間が約10分と迅速である。また、汎用自動分析装置により他項目との同時測定が可能である。以上より本法は日常検査法として有用であると考えられる。      連絡先 043-226-2328