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Platlet Aggregometry PA-200を用いたアスピリン(小児用バファリン)服用患者の血小板凝集能について

◯杉山 重幸、山崎 家春、原田史子、衣笠 美樹、神谷 さゆり、井上 克江(井上記念病院医療技術部検査科)、唐木章夫(同内科)

<目的>
レーザー散乱粒子計測法により凝集塊粒度分布の測定をおこなう血小板凝集能装置PA-200は、従来の測定法である比濁法の測定と共に、凝集の大きさを小凝集、中凝集、大凝集に分類することが可能である。我々はこのPA-200を用いてさまざまな疾患について血小板凝集能の測定を行い、その中で不安定狭心症の抗血小板療法として低濃度アスピリンを服用中の患者(男性5名、女性3名、計8名)、対象群として20歳代の健常者(男性5名、女性1名、計6名)の血小板凝集出現の違いについて検討した。

<方法>患者群および健常群についてクエン酸Na採血し900rpm,10min PRP(platelet-rich-plasma)を調整し、PRP300μlに0.5〜2.0μMの血小板惹起物質(ADP,エピネフリン、コラーゲン)30μ1を加え37℃、10min攪拌後、血小板凝集能を測定した。また、それぞれに対し惹起物質を加えない自然凝集(SPA)の経時的変化の測定も同時に行った。

<結果>惹起物質の添加濃度についてADP2.0μMでは両群共に大凝集が認められた。エピネフリン、コラーゲン各0.5μMでは、特に患者群において強い小凝集がみられ、両群には顕著な差が見られた。SPAについては患者群8例中6例に小凝集が検出された。

<考察>各惹起物質においての凝集能は患者群が有意に高く、特にエピネフリン、コラーゲンで顕著であることから、血管内皮細胞の障害や動脈硬化部位の有無を反映していると思われた。レーザー散乱粒子計測法を用いることで比濁法では検出不可能な小凝集の有無を高率に検出することができた。分類した凝集の大きさのうち我々は小凝集の形成が血小板機能の活性化として臨床的に何らかの指標になると考えた。しかしながら小凝集の臨床的意義は今後の検討課題である。