第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催)



アドバンテージUの基礎的検討および他機種との比較評価

○浪川薫 市原文雄 広原朋代 大野一彦
伊藤和男(社会保険船橋中央病院)

【目的】わが国の糖尿病患者数は約690万人といわれている。糖尿病患者にとってSMBGは、自己管理手段として必要不可欠なものとなっている。
今回我々は、簡易血糖測定器の新機種導入を目的に「アドバンテージU」及び、他機種との比較検討を行ったので報告する。
【測定機器】SMBG用機器:アドバンテージU(ロシュ・ダイアグノスティックス)グルコカード(アークレイ)メディセーフ(テルモ)対照用機器:
GA-1140(アークレイ)
【方法・結果】
1.同時再現性:正常域,異常域の2濃度の試料を5重測定した時のCVは、それぞれアドバンテージUで0.43%,0.51%、グルコカードで4.37%,0.84%、メディセーフでは3.07%,1.14%であった。
2.Ht値の影響:Htを20〜60%まで変化させた時、各機種ともHt上昇に伴い測定値の低下を認めた。
3.マルトースの影響:アドバンテージUで、マルトースの添加量の増加に伴い、正の影響を認めた。
4.測定場所による影響:明るい室内と暗い室内で3濃度の試料を測定した。メディセーフで室内の明るさによる影響が認められた。
5.相関:GA-1140との相関(n=30)は、アドバンテージUでr=0.995,y=1.014x+2.161、グルコカードでr=0.990,y=1.196x−7.142、メディセーフでは、r=0.970,y=1.161x−2.780であった。
【考察】今回我々が検討したアドバンテージUは再現性、GA-1140との相関性とも良好な結果が得られた。しかし、輸液点滴中に含まれるマルトースについては注意が必要である。
047-433-2111(内線2604)
テオフィリン自動測定装置の評価〜LT-110 HORIBAの検討〜

◯古賀直美 上野芳人 三橋裕行 桑田昇治
木野内喬(帝京大学医学部附属市原病院)

【目的】テオフィリンは、気管支拡張作用と抗炎症作用を有する気管支喘息の治療薬として広く利用されている。しかし、テオフィリンの薬剤効果には個人差が大きく、薬剤の最適量は個人によって異なるため、その最適量をモニタリングするためには血中テオフィリン濃度の測定がきわめて重要である。特に小児の喘息治療において、テオフィリンの有効治療域濃度が狭く、その中毒による副作用防止のためにも血中テオフィリンの測定値が短時間で得られることが要求される。そこで今回、全血試料でも測定可能なテオフィリン自動測定装置(堀場製作所製)の有用性について検討したので報告する。
【対象および方法】対象:血中テオフィリン濃度測定の依頼があった患者検体の、全血および血清試料を用いた。方法:テオフィリン測定試薬はLPIA・テオフィリンテスト(ラテックス凝集阻止法)、測定装置はテオフィリン自動測定装置LT-110 (堀場製作所製)を用いて測定した。他法との比較には、テオフィリンEMIT2000 測定試薬(デードベーリング)を用い、日立7600自動分析機で測定した。
【結果】1. 精密性:3濃度のコントロール試料(Lyphochek BIO-RAD)を用いて測定した。10回同時測定によるCVは3.1〜3.3%と良好であった。また6日間の日差再現性のCVは3.6〜6.0%と良好であった。2.共存物質の影響では、ビリルビン添加濃度16 mg/dl まで、溶血ヘモグロビン添加濃度 500 mg/dl まで影響は認められなかった。3. 他法との相関:・患者血清試料による本法(y)とテオフィリン、EMIT2000(x)との相関は y = 1.042 X - 0.549 、 r = 0.989 と良好であった。・患者全血試料による相関では、y = 1.096 x- 0.998 、 r = 0.992と良好であった。
【まとめ】本法の再現性は良好であり、ビリルビンおよび溶血の影響は認められなかった。他法との相関も良好で、乖離検体はなかった。本法は全血測定が可能であり、測定に要する時間は10分ときわめて短時間で結果が得られることから、緊急対応に優れているものと考えられる。       

制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会