第22回千葉県臨床衛生検査学会抄録(平成13年2月11日開催)



好酸球の著増を呈したアレルギー性肉芽腫性血管炎の二症例

○矢萩直樹 井浦宏 森田茂(千葉市立病院臨床
検査科) 青墳信之(同 内科)

【はじめに】アレルギー性肉芽腫性血管炎(以下AGA)は比較的稀な疾患で、臨床的には気管支喘息が先行するとともに、末梢好酸球の増多、および全身性血管炎を呈する未だ発症原因不明な疾患である。今回我々は好酸球の著増を呈したAGAの二症例を経験したので報告する。
【症例1】64歳、男性
既往歴:平成7年より気管支喘息により入退院を繰り返す。現病歴:本年5月末食欲不振、発熱、体重減少を主訴とし近医受診。肺炎の診断にて内服治療し一時改善したが、8月中旬下肢しびれ感、腰痛も出現し、ヘルニアと診断され近医整形外科入院。血液検査、画像診断にて血液疾患も疑われ当院内科紹介となる。入院時検査:白血球54,100/
μl、好酸球88%、CRP0.9mg/dl、IgE 263U/ml、IL-5 176pg/ml
【症例2】71歳、男性
既往歴:特記すべきことなし。現病歴:本年6月より気管支喘息にて他院加療中。9月上旬下顎リンパ節腫脹、紅斑出現、両下肢しびれ、筋力低下のため歩行困難となる。血液検査にて血液疾患も疑われ当院内科紹介となる。入院時検査:白血球55,200/μl、好酸球84%、CRP7.8mg/dl、IgE
348U/ml、IL-5 77.4pg/ml
【まとめ】両症例とも多発性単神経炎を伴い、AGAと診断した。好酸球が増多する疾患には血液疾患(好酸球性白血病、悪性リンパ腫等)、アレルギー性疾患、寄生虫疾患、膠原病、サイトカイン産生腫瘍などが考えられるが、このように著増を呈する症例は稀である。好酸球の著増を認めたら本疾患も念頭におき精査すべきであると考える。

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制作・著作:社団法人千葉県臨床衛生検査技師会