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腎Oncocytomaの一例

○諏訪朋子 加藤 拓 高橋久雄 徳泉美幸 及川友身 井田喜博 (船橋市立医療センター検査科病理)

腎Oncocytomaは全腎腫瘍の5〜10%と発生頻度が低く、希な腫瘍である。一般的に予後が良好で、術前に腎細胞癌と鑑別することが難しいとされている。今回、我々は本症例を経験したので、その捺印細胞像を中心に報告する。

【症例】68歳女性。平成14年10月に検診の腹部超音波検査にて右腎腫瘍を認め、当院泌尿器科受診。腫瘍は血管造影にてhypovascularを示した。11月18日腎摘出術が施行された。

【肉眼所見】右腎下極に、直径2.5cm大の濃褐色調を示す充実性病変を認め,被膜形成は明かではなかった。

【細胞所見】Papanicolaou染色にて腫瘍細胞はシート状から孤立散在性に出現していた。シート状辺縁は多辺形で細胞境界やや不明瞭、孤立性に出現する細胞は立方形〜類円形の細胞質を有するか、または裸核状を呈していた。細胞質はライトグリーン細顆粒状でN/C比は低く、核は類円形であった。クロマチンは顆粒状均等分布、核小体は小型のものを1個認めた。全体的に均一で異型に乏しく、分裂像は認めなかった。May-Giemsa染色にて細胞質は細顆粒状、時に小腔胞状変化を示した。

【病理所見】腫瘍は腎実質内に限局し、中心部は浮腫様線維性間質で,出血および壊死はほとんど認められなかった。腫瘍細胞は豊かな胞体を持ち好酸性顆粒状で、免疫組織化学的染色ではCytokeratin、EMA陽性、Vimentin陰性でOncocytomaと診断された。

連絡先047-438-3321(5202)