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当院における乳腺迅速細胞診の成績

○小山芳徳 花見恭太 安達純世 小野寺清隆 牛木志保 渡邉孝子 麻生晃(帝京大学市原病院病理部)

【目的】近年、乳腺疾患に関する関心度は高まり、学会、研究会等が盛んに開催されるにつれて、乳腺の穿刺吸引細胞診の需要も増している。当院においては、乳腺穿刺吸引細胞診を症例により迅速ギムザ染色であるディフクイック染色のみで迅速診断を行い受診当日にその結果を報告し、後日パパニコロウ染色にて最終報告を行っている。今回我々は、迅速時報告と最終報告との成績を比較し、また組織診断との一致率について検討を行ったので報告する。

【対象】対象は乳腺迅速細胞診を開始した2001年4月より本年10月までに当院外科を受診され迅速細胞診が施行された164症例で、迅速の施行率としては2001年が78例、43.8%、2002年が86例の72.6%であった。

【結果】迅速報告と最終報告との不一致例は迅速時報告がUnder diagnosisであったのが5例、Over diagnosisであったのが3例であった。しかしながら最終報告の病変推定、コメントは、ほぼ同内容であるが若干クラス分類がunderやover であった症例が共に14例であった。

次に組織検査の行われた39症例につき組織診断と比較検討した。迅速、最終報告共に細胞診がUnder diagnosisが3例、Over diagnosisが1例であった。Under diagnosisであった3症例の組織型の内訳は、乳頭腺管癌、硬癌、高分化型扁平上皮癌で、Over diagnosis となった症例は乳腺症であった。

【考察】当院における乳腺迅速細胞診は、最終報告との一致率が95%を超える結果であり、ディフクイック染色標本のみでも有用であると考えられた。判定の食違った症例検討については学会時に発表する。今後、ディフクイックの染色性を向上させ、また不一致率の低下を図りたい。

0436-62-1211