戻る

キシレンに代わる透徹剤クリアについて

○東 和彦・梅宮敏文(千葉大学大学院医学研究院腫瘍病理学)

【目的】病理検査においてキシレンは、パラフィン包埋の中間剤、染色の透徹剤として幅広く使用されている。だが、キシレンの安全性、人体への影響、地球環境の保全といった問題があり、キシレンに代わる安全な溶剤が開発されてきており、前回我々はリモネン系溶剤「Hemo-De」とキシレンを比較検討している。

今回我々は、アルカン系脂肪族炭化水素を主成分とする新溶剤「ティシュー・クリア」の性能をキシレンと比較し、その使用法につて検討したので報告する。

【方法】前回の「Hemo-De」とキシレンとの比較検討と同様の方法で行った。
1.パラフィン包埋過程における比較
 1)透徹能力
 2)パラフィン浸透能力
2. 染色過程における比較
 1)パラフィン溶解能力
 2)気化能力
 3)封入剤の硬化時間
3. 褪色試験等について比較検討した。

【結果】パラフィン包埋過程における比較では、透徹能力、パラフィン浸透能力はキシレンと同様の性能を示した。染色過程における比較では、キシレンと比較しての気化能力の低さ、封入剤硬化時間の遅延などを認めた。褪色試験については試験続行中につきここでは述べない。

【まとめ】「ティシュー・クリア」はパラフィン包埋過程には問題なく導入できるが、封入過程に疑問点がある。だが、低毒性、安全性や環境保全の面からも「ティシュー・クリア」は時代の要求に適するものである。

連絡先:043-226-2057