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新生児・乳幼児のABRにおける基準値の検討

◯石原雄一 平井美由紀 幡野薫 吉田有紀 塚原靖惠 斉藤幸恵(小張総合病院 検査科)

【目的】聴性脳幹反応検査(以下:ABR)は新生児・乳幼児の神経学的診断・聴力閾値推定に有用な検査法となっている。今回、我々は新生児・乳幼児を対象に刺激レベル100dBにおけるT〜X波の潜時について検討を行ったので報告する。

【対象】新生児・乳幼児92名(生後〜6ヶ月未満24名、6ヶ月〜1歳未満22名、1〜2歳10名、2〜3歳18名、3〜4歳9名、4歳以上9名)でABRにおいて推定閾値30dB未満を対象とした。

【測定条件】日本光電製「NeuropackFourMini」を用いて、導出電極:Cz、基準電極:同側耳朶、接地電極:Fpz、加算回数:1000〜2000回、刺激音:クリック音、分析時間:10〜20ms、刺激レベル:100dBの片側刺激にて測定を行った。

【結果】各年齢別での潜時(mean±SD)順に、
生後〜6ヶ月未満:1.38±0.12、2.41±0.19、4.25±0.26、5.35±0.27、6.39±0.31ms。
6ヶ月〜1歳未満:1.41±0.14、2.39±0.22、4.00±0.30、5.12±0.25、6.11±25ms。
1〜2歳:1.36±0.13、2.33±0.25、3.81±0.18、4.78±0.24、5.77±0.26ms。
2〜3歳:1.38±0.12、2.34±0.24、3.71±0.19、4.74±0.25、5.64±0.21ms。
3〜4歳:1.33±0.14、2.34±0.23、3.62±0.23、4.63±0.38、5.50±0.32ms。
4歳以上:1.48±0.21、2.45±0.21、3.68±0.19、4.89±0.26、5.56±0.39ms。以上の結果となった。

【結語】各年齢別でのT〜X波の潜時は、T・U波は短縮を認ないが、V・W・X波は成長に伴い短縮を認めた。新生児・乳幼児のABRにおける神経学的診断・聴力閾値推定の際には、各年齢別での潜時の基準値を考慮し、判断する必要性があると考えられた。

04-7124-6666(158)