17才、女性。学校検診にて尿の異常を指摘され、受診したときに見られた尿沈渣成分である。矢印で示す成分を判定してください。 尿定性検査成績:pH 6.0 蛋白(1+) 糖(−) 潜血(3+) |
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解説:IgA腎症と診断された患者尿より認められた円柱である。 基質内に赤血球および脱ヘモグロビン状の赤血球変性成分が3個以上封入されていることより赤血球円柱と判断した。ネフロン由来の血尿時に見られることが多く、その背景には大小不同や小球性のコブ状・断片状・ねじれ状・標的状など多彩な形態を呈する変形赤血球(dysmorphic RBC)が認められることが多い。無染色において赤血球が顆粒化・蝋様化した場合には、赤褐色調の円柱として観察される。 赤血球円柱の存在は、ネフロンに出血があったことを示唆し、急性糸球体腎炎・慢性糸球体腎炎急性増悪期・膜性増殖性腎炎・ループス腎炎・IgA腎症など出血を伴う腎疾患で出現することが多い。 |
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帝京大学医学部附属市原病院 水野 由喜子 |
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