設問3

56歳、男性。重度の熱傷で搬送されてきた患者である。尿沈渣中の矢印で示す細胞成分について判定して下さい。
尿定性検査成績:pH5.0 比重1.036 蛋白(2+) 糖(2+) 潜血(3+)

無染色400倍

Sternheimer染色400倍
正解:尿細管上皮細胞

解説:写真に示す細胞は、立体感の強い角柱または角錐型で辺縁構造は不明瞭である。
尿細管上皮細胞は、近位尿細管からヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管、腎乳頭と構成部位により形態が異なるが、本細胞は、形態学的特徴から遠位尿細管、集合管に由来する尿細管上皮細胞と考えられる。尿細管上皮細胞は、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などの腎実質疾患、腎疾患以外でも腎虚血または腎血漿流量減少をきたす出血、大量下痢、高度脱水、高度熱傷や薬品・薬物による腎中毒やアレルギーを起こした場合にみられる。この他にも糖尿病腎症や黄疸を伴う肝炎などの患者の尿中にも多数出現することがある。
 本症例は、高度熱傷による腎虚血または腎血漿流量減少をきたしたことにより尿細管上皮細胞が出現したと考えられる。

総合病院国保旭中央病院 佐瀬 正次郎

回答集計 参加施設数 76
尿細管上皮細胞 76(100%)
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