試験紙法による蛋白/クレアチニン比の臨床的有用性

バイエルメディカル株式会社 学術部POCグループ 白柳 譲






慢性腎不全のため人工透析を受けている患者は約22万人で年間3万人以上が新規に透析を導入しています。透析患者を減少させる為には腎臓移植数増加と腎疾患の早期発見が重要であるといわれており、日本腎臓学会でも“検尿のすすめ”として尿蛋白試験紙で腎疾患患者を早期発見し、治療をする活動を進めています。
尿中の蛋白排泄量を把握する事は、腎疾患の重症度や活動性を判断する上で、重要であり、腎疾患のスクリーニングとして尿試験紙による検査が実施され、重要な位置をしめています。
しかし、現行の尿蛋白試験紙はアルブミンに対して鋭敏に反応するものの組織蛋白などの糸球体由来以外の蛋白種とも反応する場合があり、また反応原理上、アルカリ尿や高度に緩衝化された尿では偽陽性を呈する場合もあります。
また、患者の状態によって、尿が濃縮・希釈される問題があり、随時尿では正確に尿中の蛋白排泄量を把握することが出来ない場合があります。現行の蛋白試験紙では希釈された尿では臨床的に有意な蛋白尿を過小(陰性)に評価してしまったり、また逆に濃縮された尿では過大(陽性)に評価してしまう可能性があります。
このような尿の濃縮度を補正する手段として尿のクレアチニン補正が行われております。蛋白/クレアチニン比は随時尿でも尿の濃縮・希釈の影響を補正し、随時尿でも適切な尿蛋白の評価が可能となります。また随時尿による蛋白/クレアチニン比から1日蛋白排泄量の推定も可能とされ一部では臨床にも用いられています。
今回、尿中のクレアチニン濃度が測定でき、更に尿中の蛋白/クレアチニン比が算出できる新しい尿試験紙(マルティスティックスPRO)が開発されましたのでその概要と検討結果の一例をご紹介させて頂きます。



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