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症例3 消化器解答

解答 房細胞癌



HE染色
対物 10倍


HE染色
対物 40倍


PAS染色
対物 40倍

解説

腺房細胞癌は、唾液腺悪性腫瘍の中では頻度の高いものの一つであり、全唾液腺腫瘍の3%、悪性唾液腺腫瘍の10%で、耳下腺に好発する。好発年齢は30〜40歳代であるが、幅広い年齢層にみとめられる。腺房細胞癌は、唾液腺における最も悪性度の低い癌腫の一つである。

肉眼所見
境界明瞭な分葉状充実性腫瘤で黄灰白色、大きさは、8×7×6cmで小嚢胞を伴っていた。

組織所見
漿液性腺房細胞に類似した細胞が、毛細血管と細線維を基質として、充実性に増殖していた。腫瘍細胞は、卵円形〜円形の偏在する核を有し、細胞質は好塩基性であり、PAS染色で強陽性顆粒が存在していた。腫瘍細胞は、全体的に異型性は弱く核分裂像は少ない。本腫瘍の特徴の一つとして、腫瘍細胞が毛細血管に接しているように樹枝状に増殖していた。

細胞所見
腫瘍の捺印標本では、殆ど細胞が採取されなかったため、腫瘍をスライドガラスで擦過しそれを捺印したところ、腫瘍細胞はかなり豊富に採取された。背景は比較的きれいで、孤立散在性の細胞・腺房様の配列を示す集塊・毛細血管を伴った集塊と、多彩な出現様式を示していた。腫瘍細胞の細胞質は顆粒状で広く、N/C比は小さい。偏在性の核は卵円形〜円形で、大小不同も異型性も少なかったが、核小体の目立つ細胞も認められた。ギムザ染色ではあまり明瞭ではないものの本腫瘍に特徴的な異染性を示す顆粒も認められた。

腺房様の配列を示す集塊と基質が毛細血管と細線維であることから毛細血管を伴った集塊を見出すことが腺房細胞癌の推定には重要と思われた。

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