設問 8

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

63歳、女性。関節痛にて整形外科外来を受診した患者の関節液沈渣成分である。
矢印で示す成分を判定してください。
血算:WBC (9400/μl) RBC (324×10
4/μl) Hb (10.4g/dl) Ht (36.8%)
生化学:UA (3.7mg/dl) CRP (0.8mg/dl)

設問 8-1 無染色 400倍

設問 8-2 偏光顕微鏡像 400倍 設問 8-3 偏光顕微鏡像 400倍

正解:ピロリン酸カルシウム結晶

解説: 関節液には様々な結晶がみられるが、特に臨床的に重要な結晶は、尿酸ナトリウム結晶(Monosodium urate:MSU)とピロリン酸カルシウム結晶(Calcium pyrophosphate dihydrate:CPPD)である。設問のピロリン酸カルシウム結晶は、偽通風患者の関節液に特有にみられる結晶で、痛風患者の関節液にみられる尿酸ナトリウム結晶と鑑別する必要があり、その鑑別には偏光顕微鏡による方法がもっとも有効である。設問の結晶は光学顕微鏡下では、菱形や棒状、板状を呈している。本例の結晶のようにピロリン酸カルシウム結晶は、偏光顕微鏡下でポラライザーのλ板(一波長板) Z軸方向と結晶の長軸方向を平行にすると青色になり、Z軸方向を垂直にすると黄色になる。また、カルシウム塩結晶を特異的に染色する(赤色)アリザリンレッドS染色も有効である。

解説 8-1

アリザリンレッドS染色 
     400倍

伊瀬 恵子 (千葉大学医学部附属病院)


回答集計 (参加96施設) 施設数
ピロリン酸Ca結晶 83 86.5
尿酸結晶(含:尿酸Na) 11 11.5
リン酸アンモニウムMg 1 1.0
不明 1 1.0


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