設問 5

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

70才 女性 泌尿器科外来を受診時の尿沈渣です。
矢印で示した成分を判定して下さい。

尿定性検査:pH8.5 蛋白(−) 糖(−) 潜血(1+)

設問 5-1 400倍

正解:リン酸アンモニウムマグネシウム結晶(羽状型)

解説:リン酸アンモニウムマグネシウム結晶は、アルカリ性尿で認められ顕微鏡下では無色で屈折性を呈し光って見え、西洋棺蓋状・封筒状・プリズム状などの形状を示す。塩酸・酢酸等の酸で容易に溶解する。本例に見られるような羽状型は不完全な結晶である。
 リン酸アンモニウムマグネシウム結晶は、尿素分解細菌による尿路感染が原因で生じることが多く、尿素分解菌により尿中の尿素をアンモニアと炭酸ガスに分解し、このアンモニアの生成に伴い尿がアルカリ化し尿中の燐酸と結合することにより結晶化する。尿路感染が原因で生じる結石は感染結石と呼ばれ尿路結石の10〜15%を占め女性優位であり、感染結石の核から周辺まで認められる細菌は生きていることが多くProteus属が約70%を占める。
解説 5-1,5-2に通常見られる結晶を示す
解説 5-1 解説 5-2


解説:水野 由喜子(東京歯科大市川総合病院MBCラボ)


回答集計
(参加83施設) 施設数  
リン酸アンモニウムマグネシウム結晶 81 97.6
リン酸カルシウム結晶 2 2.4



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