設問 1
社団法人千葉県臨床検査技師会 一般検査研究班

A,Bの赤血球の形態について判定してください。
尿定性検査: A. pH5.0 蛋白(2+) 糖(−) 潜血(3+)
         B. pH6.0 蛋白(−) 糖(−) 潜血(3+)

  設問 1 A 無染色400倍        設問 1 B 無染色400倍 

正解:A.変形赤血球(dysmorphicRBC)
    B.均一赤血球(isomorphic RBC、非糸球体性血尿)

解説:写真に示すAの赤血球は、大小不同、コブ状、リング状、標的状などの形態を示す事から変形赤血球(dysmorphicRBC、糸球体性血尿)である。
慢性糸球体腎炎(IgA腎症、膜性増殖性腎炎、膜性腎症など)、急性糸球体腎炎、ループス腎炎、急速進行性腎炎、間質性腎炎などの疾患でみられる。
変形赤血球の出現機序は、損傷した糸球体基底膜を通過する際の機械的ストレスによる場合、障害を受けた部位から放出される生理活性物質による赤血球膜構造異常による場合、ネフロン通過の際に浸透圧や尿成分により受ける急激な環境の変化による場合がある。
そのため赤血球膜の強度によっては糸球体赤血球がすべて変形するとは限らない。
大小不同、コブ状、リング状、標的状など多彩な形態が見られること、蛋白尿や各種円柱(赤血球円柱など)の出現、脱ヘモグロビン(薄い色調)をしていることが決め手となる。


Bの赤血球は、金平糖状、円形の均一単調であるから、均一赤血球(isomorphic RBC、非糸球体性血尿)である。
低比重尿(1.010以下)で膨化状(ゴースト状)となり、高比重尿(1.030以上)で萎縮状(コンペイ糖状)になる。
非糸球体性血尿であっても、例えばアデノウイルス感染症など小児の血尿の原因として重要な出血性膀胱炎などでは変形赤血球が見られることがあるのでヘモグロビン色素に富んでいるか、色調をよく観察する。


解説:三谷 智恵子(成田赤十字病院)


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