設問 7
社団法人千葉県臨床検査技師会 一般検査研究班

10歳 男児、 シンガポールからの帰国子女。帰国の際、成田検疫所で虫卵を指摘され、
駆虫目的で受診。糞便からMGL法により虫卵を検出した。この虫卵名を答えてください。


  設問 7-1 無染色400倍 

正解:小形条虫卵(Vampirolepis nana

解説:この原虫は、世界に分布し、元来、ネズミの寄生虫であるがヒト、とくに子供によく寄生し、不潔な環境の子供に感染率が高い。わが国では最近減少した。
 糞便中に特有の虫卵を検出して診断する。糞便から検出される虫卵は楕円形で、卵殻は薄く、透明、大きさは45〜55×40〜45μm。その内部にレモン形の幼虫被殻があり、その大きさは20〜25μmで両端に突起があり、そこから数本のフィラメントが外側のゼリー状物質の中に出ている。幼虫被殻の中には六鉤幼虫が存在する。小腸、特に十二指腸に寄生する。駆虫薬はニクロスアミド、硫酸パロモマイシン、プラジカンテルなどがあるが、駆虫薬を用いず、空腹時に十二指腸ゾンデにより、グリセリンや造影剤などを注入し排便させ駆虫させる方法もある。
 この原虫は中間宿主を必要としないので、ネズミまたはヒトの糞便内に排出された虫卵を直接経口摂取して感染する。


解説:森 修治(JFE健康保険組合 川鉄病院)


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