第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

頚動脈硬化病変と動脈硬化危険因子について

 

〇杉浦靖子 北川伸江 山田真澄 井上幸子 殿畑和子

(佐々木研究所付属杏雲堂平塚病院検査科)

田村泰(同内科)

 

【はじめに】

近年動脈硬化症の評価法として非侵襲的かつ反復的に検査可能な頚部血管超音波法が広く行なわれる様になった。我々は超音波断層法によるPlaqueの有無及び型別と血清脂質値との関連について糖尿病患者を中心に検討し興味ある所見が得られたのでここに報告する。

 

【対象と方法】

当院を受診中の患者302名(男性146名平均年令65.1歳、女性156名平均年令74.5歳)を対象とした。超音波診断装置は東芝SSA-350Aを用いて左右総頚動脈、内頚外頚動脈における内中膜複合体厚(IMT)及びPlaqueの有無を計測した。 PlaqueはPlaque分類(ncvc)に基づき以下の如く我々独自の分類をした。0:Plaque(-),1:soft,2:intermediate,3:hard,4:mixed,5:ulcer,6:IMTcalc.7:IMT肥厚とした。生化学的検査は,LP(a),LDL-c,T-cho(第一化学)をメ−カ−推奨のパラメ−タ−を使用し、日立7170を用いて計測した。

 

【結果】

Plaqueの有無及びIMT肥厚と血清脂質値において正の相関が見られ、さらに糖尿病患者群で明らかな有意差を認めた。Plaque分類による比較では特にhard型、mixed型に著しい有意差が認められた。

 

【考察】

今回Plaque(+)で血清T-cho及びLDL-c,Lp(a)値が有意に高値を示し、特に糖尿病患者ではより強くその傾向が見られた。また、石灰化病変を伴うPlaqueに著しい有意差が認められるという事はその過程からも動脈硬化の進展と良く相関していると思われる。IMTの肥厚は健常者と同様に各疾患群においても加齢と共に増加傾向を示した。この事から、頚動脈超音波法は動脈硬化症の程度及び時間的進展を客観的に判断できる有用な検査法といえよう。     

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