第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

準閉塞性フィルム電極を用いたホルター心電図の試み

 

○河西淳子 川口哲夫 小林玉樹 飯島知子 榎崎茂(つくばセントラル病院 生理機能検査室)
 神谷英樹(同循環器内科) 

 

【目的】

ホルター心電図は、電極装着部位にかゆみの症状を訴える患者が多い。そこで、術後創部等に使用されている準閉塞性フィルム電極を用い、かゆみが軽減されるか検討したので報告する。

 

【対象及方法】

対象は、2000年3月から6月にホルター心電図を施行した患者174例(男性78例、女性96例)、平均年齢63歳。誘導部位はNASA、CM5。電極と固定テープは準閉塞性フィルム(以下O)、ポリエステル不織布(以下P)を用いた。A 群:P+P(電極+固定,以下同)、B群: P+O、C群: O+P、D群 : O+Oとした。電極は日本光電準閉塞性フィルム電極Vitrode D、ポリエステル不織布電極Vitrode Bsを用いた。

 

【結果】

各群ともかゆみの有無に有意差は認められなかったが、3月から5月に限定するとD群では30例中5例(16%)にかゆみが有り、他群より有意に少なかった。6月のD群は、16例中11例(69%)にかゆみが有り、他群より多い傾向にあった。入院と外来でかゆみの有無に有意差はなく、各群内においても同じであった。

 

【考察】

準閉塞性フィルムは、水蒸気は通すが水滴は通さないという性質を持つ。発汗が多いと、水蒸気としての処理能力をこえ、汗が水滴化するために、気温が上がり発汗が多くなる6月では、かゆみを訴える患者が多くなったと思われる。準閉塞性フィルム電極は、発汗の少ない時期には有用と思われた。

 

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