第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

MEGを用いた棘波のダイポール推定

 

◯浅和照子 小林真紀 本田孝行     
(信州大学医学部附属病院中央検査部)
 関口幸男(同小児科)

 

【目的】

てんかんの外科的治療には棘波の発生源の局在推定(ダイポール推定)が重要な意味を持つ。近年,神経細胞に由来する磁界を頭蓋外より非侵襲的に測定する脳磁図検査の応用が注目されている。脳波が頭皮,頭蓋骨,脳脊椎液,脳実質など組織間の伝導率の違いに影響された容積電流による電位差を測定しているのに比べ,脳磁図は主として神経細胞内の電流による磁界を組織に影響されずに測定しているため、電流源の空間的局在推定が容易で正確であると考えられている。本院に導入された全頭型脳磁界計測装置を用いて、てんかん棘波のダイポール推定のための解析法を検討した。

 

【対象および方法】

対象は、てんかん2症例である。10/20法電極配置で耳朶基準単極誘導で覚醒、睡眠脳波および脳磁場を連続30分同時計測した。計測した棘波、棘徐波、多発棘波についてダイポール推定を行い,MRI画像上に重畳し、局在を検討した。解析は、棘波の立ち上がりからpeakに至る潜時で最もg/%の高いダイポールをその棘波の起源の代表とした。また,多発棘波は棘波の始まりから連続的にdipole fitを行い確立の高いダイポールを求め、発火の広がりを調べた。さらに両者のダイポールの早い潜時で確立は低いが発火の引きがねになっている可能性の高いダイポール推定も試みた。HPFについても検討した。

 

【結果】
1.dipole fitのmax.g/%は棘波の頂点でないことが多い。
2.棘波の立ち上がりから頂点までの連続dipole fitで発火経過が観察可能であった。
3.HPFを用いることでg/%を上げることが可能であった。

 

【考察】

脳磁図を用いた棘波のダイポール推定は解析法による推定の精度が問題であり、さらに検討を要する。

 

0263-37-2800