第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

当院におけるProteus mirabilisの検出状況

 

 ○榎本葉月 相庭 中澤武司 川畑貞美

       (順天堂大学浦安病院 検査科)

 

【目的】

院内感染対策における細菌検査室の役割や重要性が近年増加している。当院ではMRSAや耐性緑膿菌の情報提供に努めているが、最近Proteus mirabirisP.m)の耐性菌が増加傾向にあるため院内感染対策情報用に調査を実施したので報告する。

 

【方法】

1997年から20005月までに臨床検体より分離されたP.m311株、131症例を対象に分離頻度、感受性率と耐性パターン、保菌期間、病棟分布状況などを調査した。感受性検査は、ABPCCEZCTXGMについて、セプターシステム(ベクトンデッキンソン)を使用し、NCCLS法に準拠した方法で実施判定した。耐性パターンは、ABPCのみ耐性:ペニシリン耐性(Pr)型、ABPCCEZ耐性:軽度セフェム耐性(Lsr)型、ABPCCEZCTX耐性:高度セフェム耐性(Hsr)型に分類・調査した。

 

【結果】

97年〜99年の年次別P.m分離症例数の変化は認められなかった。しかし、耐性株保菌患者数の割合増加は著名であった。年次別耐性菌保菌症例の内訳は、97年度ではPr(6.1)Lsr(4.1)Hsr(0)で、99年度はPr型(0%)、Lsr(1.4)Hsr型(37.8%)となっており、Hsr型の増加傾向を認めた。保菌期間の調査では、平均3.4ヶ月で1年以上保菌する患者や慢性化する傾向が認められた。病棟分布では同一期に同じ耐性パタ-ンを持ったP.mを複数人検出され、院内感染を示唆する所見が確認できた。

 

【まとめ】

当院では、97年頃まで高度耐性のP.mはほとんど検出されず、98年から急増した。この年から当院の多剤耐性緑膿菌も多数分離されており、耐性菌増加傾向に対する原因の調査を薬剤科、病棟・診療科と協力し早急に実施することが必要であると思われた。

 

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