第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

自己血貯血室の運用について

 

○落合浩美  伊藤洋美  金子泰代  川島徹
川畑貞美(順天堂大学浦安病院  検査科)

 

 

【目的】

近年、同種血輸血の感染症をはじめとする副作用が大きな問題となり、輸血に当たっては説明と同意(インフォームド・コンセント)が実施され、選択肢として自己血輸血が普及してきた。今回我々は、昨年4月より自己血貯血室の設置に伴い検査科輸血室及び輸血業務管理委員会にて自己血マニュアルを作製し、予約・採血・保管・検査・払い出し・使用破棄までの一貫した操作手順を作成したので運用の現状と問題点を報告する。

 

【結果】

1)自己血貯血室開設当初は、手書きによる事務処理を行っていたため予約が混乱した。

2)貧血傾向の患者において3週間の期間では、貧血のため中止になることが多く十分な貯血量を得ることが出来なかった。

3)血管の細い患者や確認できない患者において17Gの針は、採血困難となるケースがみられた。

4)本年に入り6月現在90人の貯血を受付し、一月当たり15人(45回)の自己血採血を実施。

 

【考察】

1)昨年9月コンピュータシステム化し自己血ラベル、予約確認を印刷でき管理しやすくなった。

2)本年7月から、35日間(5週間)保存期間が延長できる自己血CPDA保存バックの導入により更なる適応対象患者が増えると考える。

3)血管の細い患者採血には、コネクター付きバックを使用し、サーフロー針(18〜20G)を使用することによりスムーズに採血できた。

4)自己血採血用バックを使用することにより、採血後コネクターより輸液が可能となり、患者に2度針を刺さずに処置が行えるようになった。

 

【結論】

定期的な輸血業務管理委員会の開催により、臨床医・看護婦・臨床検査技師の連携がとれ自己血マニュアルの改定を行うことにより自己血貯血室の運用が改善された。 

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