第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

ENG検査デジタル化の試み

 

○森下典子(順天堂浦安病院 検査科)

 中川雅文  安藤一郎(同 耳鼻咽喉科)

 

【目的】

アナログによる眼振検査の計測は、主に眼振の形や個数、向き、速度などの定量が行われている。特に回転刺激眼振では、波形全体像から形、左右差を視察する場合に判読医の主観に頼らざるおえない。今回我々は、ENG検査における眼振個数の自動検出と刺激眼振時の眼振間隔計測の基礎的検討を行い、デジタル化を試みたので報告する。

 

【方法】

眼振計測はNEC biotop 612を使用し、BFA Ver4.55AD変換後解析した。検討内容は、サンプリング間隔、解析時間、アーチファクト除去などについての測定条件を検討した。

 

【結果

)サンプリング周波数:眼振周波数は、020Hzに分布し、保存性を考慮し50Hzとした。

2)解析時間:BFA Ver4.55では1つのエポック(解析長)が、512ポイント(20.04秒)となるため、1つの検査単位は、512の整数倍とした。

3)アーチファクト除去:

@アナログフィルター処理:低域フィルターの違いを検討したところ0.16Hzで良好な結果が得られた。

Aデジタルフィルター処理:アナログでフィルター処理された波形にさらにデジタルフィルター処理も可能であるが、眼振個数のカウントでは、良好な結果は得られずHI cut 30Hzのみとした。

BThreshold ValueTV):感度1mVで計測した場合の TV50μV、感度5mVで計測した場合の TV は5μVで良好にノイズ除去されたが、症例によって調整する必要がある。

 

【まとめ

ENG計測のパラメータ設定により、アナログ測定と同等の波形が得られた。

  刺激眼振検査では、良好な眼振カウント結果が得られたが、注視眼振時においては、瞬き等のノイズの識別が不完全であり、今後検討が必要と思われた。

 

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