第３７回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

白糖加SSS寒天培地の有用性についての検討

 

○黒澤直美  佐藤宏子  奥村元  五十里博美
      小�ｱ繁昭 （越谷市立病院 臨床検査科）

 

【目的】

給食従事者等における検便において、従来当院ではSS寒天培地を使用してきたが、それにかわるSalmonella、Shigellaのスクリーニング培地として栄研化学より、白糖加SSS寒天培地（以下SSSS）が発売された。今回、我々はこのSSSSと従来のSS寒天培地との比較検討を行ったので報告する。

 

【方法】

当検査室に依頼された健常者検便54件について両培地に等量塗布、画線培養し、発育菌量およびSalmonella、Shigellaが疑われる乳糖や白糖非分解の集落数を比較した。Salmonella、Shigellaを疑ったが否定されたものについては、菌種の確認を行った。また、Salmonellaの保存菌株を用いて、両者の発育状況を比較した。

 

【結果】

菌全体の発育状況についてはSS＜SSSSとなったのが24件、SS＝SSSSとなったのが30件で、全般にSSSSの発育が良かった。また、疑わしいコロニーが認められたのは、SSで30件、SSSSで18件であり、同定に持ち込んだ件数はSSSSが12件少なかった。SSでのみ分離された菌種はCitrobacter 属の乳糖遅分解株とProteus属が、SSSSでのみ分離された菌種はE. coliが多かった。Ｓ. Typhi、Ｓ. Enteritidis、Ｓ. Thyphimuriumの保存菌株を用いて培養を行ったところ、両培地において発育の差は認められなかった。

 

【まとめ】

SSSSはSSより胆汁酸塩等の抑制力が弱いためE．coliが多く分離されたが、健常者検便においては、白糖の入ったSSSSがその後の検査が簡便になり、経費も削減できると思われる。この検討は現在も続行中であり例数を増やし報告する予定である。当院の便からの病原菌検出状況についても併せて報告する。

 

連絡先 0489-65-2221（内線2255）