第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

ARCHITECTi2000によるHBs抗原、抗体測定の基礎的検討

 

○塚田さおり 山田直子 安井祥子 吉村稔 松崎 昭彦

 笠原良彦(茅ヶ崎徳洲会病院 中央検査部)

今井みゆき(大和徳洲会病院検査部)

 

【目的】

今回我々は、化学発光免疫測定法(CLIA)を原理とするARCHITECTi2000を用いHBs抗原・抗体測定の基礎的検討を行ったので報告する。

 

【方法】

@同時再現性:2濃度の陽性コントロールにて10回連続測定を行った。

A日差再現性:2濃度の陽性コントロールにて10日間測定を行った。

B直線性:高濃度検体をHBs抗原・抗体陰性血清を用い希釈系列を作成し測定した。

Cキャリーオーバー:高濃度検体と陰性検体を交互に連続測定をした。

D相関:従来法との相関を患者検体にて求めた。

 

【結果】

@同時再現性:CVHBs抗原で4.684.79%HBs抗体で1.872.46%となった。

A日差再現性:CVHBs抗原で4.626.32%HBs抗体で3.003.63%となった。

B直線性:HBs抗原は200IU/mlまでHBs抗体は950mIU/mlまで確認できた。

Cキャリーオーバー:HBs抗原、抗体ともに特に影響は認められなかった。

D相関: 抗原では一致率90%(38/42)相関係数r=0.9503 抗体では一致率98(48/49)相関係数r=0.9146 となった。HBs抗原において不一致を示した検体に関しては確認試験により陰性であった。

 

【まとめ】

再現性、直線性、キャリーオーバー、相関で良好な結果を示し、特に従来法と比較すると定量範囲が極めて広くなった事は確認できた。一方HBs抗原において250IU/mlを超える検体に関しては専用希釈液による希釈測定が必要であり、早期に自動希釈測定ができるように改善が必要と思われた。本装置は1検体の測定時間が29分で1時間当たり200検体と検体処理能力に優れ 、日常ルーチンや夜間至急検体の対応にも充分耐えうるものと思われた。