第37回関東甲信地区医学検査学会 2000.10.14-15

脛骨神経中潜時SEPの評価法
 −左右比による検討−

○高橋修 堀田富士子 赤星和人 内川研
 水野勝広 永田雅章(市川市リハ病院)
 辻内和人(慶應大リハ医学教室)
 河野光伸(藤田保健衛生大学リハ専門学校)
 才藤栄一 園田 茂(藤田保健衛生大学医学部リハ医学講座)
 栃木捷一郎(都立保健科学大学)

【目 的】

脛骨神経中潜時SEPにおいて、主に脳血管障害などSEP波形に左右差が生じる疾患の異常判定に用いる目的で、健常成人における対側Cz'導出波形の平方和から左右比を求めて比較する方法を検討した。

 

【対 象】

健常成人は35例で内訳は男性28名,女性7名,平均年齢29.7歳(22〜38歳)であった。

 

【方 法】

SEPの測定は経皮的に脛骨神経を左右交互2Hzで電気刺激し、各々を別々に加算した。                                              

 

【解 析】

Cz'でのSEP波形上でP35,P53を指定し、日本光電社製ニューロパック8で計測し、コンピューターによって、平方和の左右比を算出した。同時に平均潜時と振幅の左右比を算出し、平方和の左右比と比較した。 

 

【結果と考察】

頂点潜時の平均値はP35で37.1±1.85ms,N42で46.6±3.1ms,P53で59.3±2.5msであった。振幅の平均値はP35-N42で3.6±1.85μV,N42-P53で3.6±1.8μV,左右比の平均値はP35-N42で1.16±0.30,CVは28.6,N42-P53で1.02±0.37,CVは36.7であり、左右の相関係数はP35-N42で0.82,N42-P53で0.80であった。平方和は最小74.4,最大3112.3,中央値379.2,平均値616.0±581.7であり、左右比の平均値は1.00±1.12,CVは12.5であり、相関係数は0.97であった。この結果から頂点潜時、振幅および平方和の左右比も大きな差はなかったが、変動係数を比較すれば平方和の左右比による評価が安定していた。