第37回関東甲信地区医学検査学会特別企画(シンポジウム) 2000.10.14-15

検査室の臨床医へのコンサルテーション

伊田 美紀 櫻林 郁之介( 自治医大大宮医療センター臨床病理部)

1)病院検査部の変革
医療費の増加率は国民総生産の増加を上回り、すでに医療費の経済的効率性は聖域ではなくなっている。さらに、世界に類を見ない高齢化、社会保障費の増加、バブルの後遺症などの要因も加わり保険診療報酬費の抑制は政策的課題となっている。医療行政においてはDRG/PPSの導入、2004年の独立行政法人化・統合といった体制の構築が進められている。周知のように検査関連の領域及び病院検査部においても、社会情勢と無縁であるはずがなく、今まさに変革の渦中にある。このような状況下、検査部運営の改善として業務の合理化・省力化への取り組み、固定費・変動費をはじめとした収支管理を徹底することは、経済的な効率性を高めるうえで非常に重要となっている。一方、検査センターの統合化やブランチラボ・FMS方式への移行を推進し、アウトソーシングにより経営改善を図ろうとする経営者の存在もある。このような中で、病院検査部の役割が改めて問われ変革を余儀なくされている。

2)当院での取り組み
現在までの検査部における外部精度管理・内部精度管理の施設参加の取り組みは検査データの標準化の推進・精密性の保障を確保してきた。また、自動分析装置とオーダーリングをはじめとしたコンピュータの導入(LIS;Laboratory Infomation System、LAS;Labolatry Automation System、HIS;Hospital Information System )は検査データの迅速性の実現を可能とした。これらの事と同時に、分析機器の自動化(LIS、LAS)は検査業務の合理化・省力化を押し進めてきた。しかし、検査データの有効利用や検査データに付加的価値を付けて返すと言った点では必ずしも充分とは言い難いたい点がある。さらに、検査部は機械の出したデータを出しているだけと言った検査部軽視の見方がある。それらを払拭するため、当院では検査技師が検査のプロフェショナルとして、臨床医にどのようなサービスが可能かを検討し、他の施設での取り組みをも参考とし試行錯誤している。開設間もない当院での、臨床医へのコンサルテーションを含めた検査情報相談の取り組みを紹介したい。情報相談部門開設に当たり、北里大学病院臨床検査部情報室での取り組みを見学させて頂き、当院における情報管理部門としてどのような試みが可能か、計画中の事例を含め下記の事項について紹介したい。

1) 検査の問い合わせの一元化
2) データベースの構築
3) 検査部の収支管理業務
4) 他部門へのサポート・関連委員会