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高感度「アーキテクト・PSA」の基礎的検討  

○半田 麻弓、清宮 朋子、坂本 美智代、北村 登、羽田 真理子(千葉県がんセンター)

【はじめに】今回,我々は化学発光免疫測定装置

「ARCHITECT・iシステム」(ダイナボット社)による「アーキテクト・PSA」の基礎的検討を行ったので報告する.

【方法及び結果】<同時再現性> 3濃度(L=3.663,M=20.700,H=83.669ng/ml)の患者血清(n=30)を測定したところ、SD 0.113〜4.530ng/ml、CV3.1〜

5.4%と良好な結果であった。<日差再現性> 3濃度のコントロール試料(L=0.521,M=3.821,

H=23.129ng/ml)を23日間(n=14)測定した時のSDは0.024〜1.098ng/ml、CV 3.3〜4.7%であった。また、低濃度域検体(0.043〜0.233ng/ml)を5日間(n=3)測定したところ、SDは0.001〜0.008ng/mlと共に良好な結果であった。<希釈直線性> 3濃度の患者血清 (0.233、6.301、103.214ng/ml)における希釈直線性はいずれも良好であった。<最小検出限界> 低濃度患者検体(0.0276ng/ml)を専用希釈液を用いて5段階希釈したものを、それぞれ5重測定し、blank(専用希釈液)の平均値±3SDと重複しない濃度から求めた最小検出限界は0.012ng/mlであった。<プロゾーンの有無> 高濃度患者血清

(5978.5ng/ml)を希釈し、見かけ上低値を示さないかを確認した。その結果、PSA5978.5ng/mlまで、測定値および発光量は低値を示さなかった。<キャリーオーバー> 蒸留水と高濃度検体(5978.5ng/ml)を交互に測定したところ、測定値・発光量ともに影響は認められなかった。<Tandem-R法との相関>患者血清(n=100)によるTandem-R法(x)と本法(y)との相関は、相関係数0.997、y=0.913x+0.092であった。

【まとめ】アーキテクト・PSAは再現性、直線性、Tandem-R法との相関等いずれも良好な成績であり、また、低濃度域における測定精度も満足できる結果であった。このことから本法は、前立腺癌治療後の経時変化をより鋭敏に検出することが可能と思われた。今後は、free PSAについての検討も加え、前立腺癌マーカーとしてのPSA free/total比(F/T比)の有用性を確認していきたい。