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マイクロウェーブを用いたPAM染色の検討 

○青柳正則 岸澤 充 岡田敏之 永田雅裕 森 重彦(千葉社会保険病院 臨床検査部)

(はじめに)
過ヨウ素酸メセナミン銀(PAM)染色は腎臓疾患の病態把握のための染色法として広く用いられている。PAM染色はメセナミン銀液を用いて、鍍銀に1時間から1.5時間かけて糸球体基底膜を選択的に染色する染色法である。
今回、我々はマイクロウェーブ(MW)を用いての鍍銀時間短縮の検討を行ったので報告する。

(材料・方法)
材料として、15%緩衝ホルマリン固定された腎臓の1〜2μパラフィン切片を使用した。
MW照射装置として、MW照射量調節可能な日新EM社製MWF-2(出力500W)を用いた。
検討項目は、当施設で通常行っているPAM染色方法(過ヨウ素酸による酸化時間15分、メセナミン銀液反応時間 60℃ 60分)を対象として、MW照射時間(1分〜30分)と染色性について比較検討した。
また、後染色としてH・E染色を行った。

(結果・考察)
MW照射時間での染色性は、1分〜10分照射では鍍銀反応が認められず、茶色〜茶褐色になる程度であった。
15分では尿細管などは黒褐色であるが糸球フ基底膜への鍍銀が淡く不十分であった。
20分の照射では糸球体基底膜が黒く鍍銀され、良好な結果が得られた。
また、後染色への影響も認められなかった。30分では糸球体基底膜への過鍍銀や銀粒子が組織上に多数出現するなどの非特異反応が認められた。
 今回MW照射装置を用いることにより、メセナミン銀液での鍍銀時間を後染色へ影響させることなく短縮することができた。