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自動免疫組織染色装置(OptiMaxPlus) の血液塗抹標本への応用

◯高田 浩子、松林 恵子、山本 雅彦、永野 浩、武藤 由香子、麻生 裕康(千葉県がんセンター臨床検査部)

【目的】血液塗抹標本の免疫細胞化学染色は、白血病やリンパ腫などの血液腫瘍性疾患の診断に重要であるが、染色技術や判定に熟練を要し迅速性にも欠けるため実施する施設は少ない。今回、我々は自動免疫組織染色装置(OptiMaxPlus;協和メディックス社)を使用する機会を得、血液塗抹標本への応用について検討を行い、良好な結果を得たので報告する。

【対象】当センタ_の血液疾患症例から得られたEDTA-3K加末梢血ならびに骨髄血10例を用いた。

【方法および結果】本機の基本設定は病理標本用であり、設定変更なしで実施した場合、固定条件の異なる血液塗抹標本では塗抹面の剥離や溶血ならびに対象細胞の萎縮が見られた。しかし、これらはBufferおよびairノズルの高さ調整、ならびに固定直後の洗いを界面活性剤が含まれた専用Bufferから1/100molのPBS(pH7.2)に変えることによって回避できた。また、用手法との陽性所見の一致率は92.7%と良好であり、細胞形態の保持も満足するものであった。

【まとめ】本機の染色条件はステップ毎に設定可能であり、設定条件の変更により用手法と比較しても遜色ない染色結果を得た。また、試薬量や分注範囲等の変更も可能であり、対象細胞の分布状態によっては染色範囲を少なくするなど、使用抗体量の節約も可能であり経費節減にも繋がる。さらに、用手法の迅速性、染色技術の習得などの問題点も解決される。また、バーコード機構を利用することにより、完全自動化が可能など、本機はオペレーターの工夫によって作業の効率化にも十分寄与できるものと思われる。今後、マイクロウエーブ搭載機の開発予定もあり、応用範囲もさらに広がることが期待される。連絡先043-264-5431