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全自動マイクロプレートEIA分析装置AP-96によるNCC-ST-439の検討

○ 清宮朋子 羽田真理子(千葉県がんセンター 臨床検査部)

【目的】NCC-ST-439は乳癌の再発診断や治療効果判定に有効な腫瘍マーカーであり、当センターではマイクロプレートEIA法を用いて用手法で測定を行っている。本試薬は反応の温度や時間の影響を受けやすいにもかかわらず、用手法では室内温度や検体数によって一定の測定条件を保つのが困難であり、安定した測定結果を得るために多くの労力を要している。今回、全自動マイクロプレートEIA分析装置AP-96を使用し、日常検査における有用性を検討したので報告する。

【測定試薬・機器】
試薬:ラナザイムST-439プレート(カイノス)
機器:AP-96(協和メデックス)

【方法および結果】
1.同時再現性:2濃度のプール血清による同時再現性はn=40でCV3.7〜4.2%であった。
2.日差再現性:2濃度の管理血清による日差再現性はn=7でCV4.8〜7.2%であった。
3.希釈直線性:高値患者検体を用いたところ50U/mLまで直線性を認めた。
4.相関:用手法との相関はn=88でy=1.147x+0.06、r=0.992と良好であった。
5.検量線の安定性:技師5人による5点検量線の各吸光度のCVは16.0〜87.8%(n=10)であったが、AP-96では11.6〜16.0%(n=9)と良好であった。

【まとめ】AP-96では温度や時間の管理は自動で行われ、用手法と比較して安定した結果を得ることができた。本法は用手法では約4時間要するが、AP-96では30分程度の拘束時間ですみ省力化が可能である。また、本装置は細かい測定条件の設定が可能であり、EIA法の汎用機として使用可能である。以上のことにより本装置は日常検査において有用であると思われる。

連絡先043-264-5431(内)3751