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全自動血球算定装置(Coulter LH750)の基礎的検討

○降旗麻子 高田浩子 仲沢正美 山本雅彦 松林恵子 麻生裕康(千葉県がんセンター臨床検査部)

【目的】全自動血球算定装置Coulter LH750(ベックマン・コールター社)を使用する機会を得、CBC・白血球分画及び網赤血球数算定(RETI)について基礎的検討を行ったので報告する。本機はコールター原理によるCBCとフローサイトメトリーによる白血球分画や網赤血球数の測定が可能な最新機種であり、得られたシグナルの解析法の改良により、分析対象細胞数を増加させたことが特徴である。

【対象・方法】当センターの悪性腫瘍疾患患者ならびに健常勤務者から得られたEDTA-3K加末梢血液を用いて、以下の検討を行った。 1)同時再現性:RBC・WBC・PLTについて、正常・高値および低値を示す検体を20回連続測定した。 2)希釈直線性:RBC・WBC・PLTについて、それぞれの高値検体を希釈し、直線性を検討した。 3)相関:CBCとWBC5分画はSTKS(ベックマン・コールター社)と、RETIは目視法との相関をみた。 4)低値血小板領域の信頼性:PLT50,000/μl以下を示す検体を用い、ICSH/ISLH発表の標準法である、血小板参照法にて測定し、血小板数の信頼性を確認した。

【結果・考察】1)同時再現性:3項目のCV(%)は、RBC 0.30〜0.82、WBC 1.12〜2.03、PLT 2.69〜3.17であった。 2)希釈直線性:RBC 791×104/μl、PLT 193.4×104/μlまでの直線性が得られた。 3)相関:MCHC・BA%以外はr=0.98以上の相関が得られた。またRETIはr=0.91、PLTの低値領域検体ではr=0.98と、十分信頼性のある結果が得られた。白血球数の直線性に関しては、高値検体が得られていないため現在は検討できていないが、今後ラテックスなどの擬似物質を使用した検討を加えて報告する。以上のことから、本機は検査精度の向上ならびに迅速化に有用であると思われた。

043-264-5431(内線3710)