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糖尿病患者の眼底所見と血清脂質との関係について

◯桐谷陽子 平野繁治 前川里枝 北原則江 磯部みどり 高梨法子 西川栄子 上野芳人(玄々堂君津病院臨床検査科) 荻野良郎(同内科)

【目的】今回われわれは、糖尿病患者の眼底病変において特に細動脈反射増強と交叉現象による動脈硬化性変化と血清脂質との関係について検討したので報告する。

【方法】1.当院通院中の糖尿病患者20例を対象として眼底検査を行い、その所見より細動脈反射増強および交叉現象(走行変化、管径変化)の有無からScheieの分類による動脈硬化性変化を判定した。2.血清脂質は総コレステロール、中性脂肪、HDL―C、LDL―Cをそれぞれ測定し、リポ蛋白分画の解析も行った。3.糖尿病マーカーは、血糖、グリコヘモグロビンA1c(HbA1c)を測定した。

【結果】糖尿病患者20例中5例が細動脈反射が陽性を示した。5例中4例はI型の動脈硬化性変化を示し、交叉現象が強く観察された1例はU型の動脈硬化性変化として分類された。細動脈反射が陽性を示した5例は血清脂質が高値を示した。また交叉現象が強く観察された例ではLDL―C値が150mg/dlと高値を示し、リポ蛋白分画の解析ではリポ蛋白の著しい質的変化が確認され、糖尿病マーカーでは血糖値が277mg/dl、HbA1cが10.4%と高値であった。

【まとめ】糖尿病患者において、眼底による動脈硬化病変と血清脂質とのあいだに密接な関係が示唆された。今後さらに症例を増やし、血糖コントロール良否についても検討していく。

0439-52-2366