W.尿検査結果の解析のポイント
ケース1:尿中に白血球が見られるが、細菌は存在しない。
まず非感染性の炎症が疑われます。
間質性膀胱炎では、多くは無菌性にもかかわらす血尿・膿尿を認めます。
原因としては自己免疫疾患ではないかとも考えられていますが病気の本
態ははっきりしていません。膀胱容積が減少するのも特徴の一つです。
また、アレルギー性膀胱炎も無菌性の膀胱炎です。血尿を認めることが
多く、膀胱内で好酸球浸潤が認められます。
診察所見で一見感染性の膀胱炎であるように見えても、これらのような
場合には抗生物質の投与は効果がありません。
ケース2:尿中に白血球・細菌が見られる。
採尿時のコンタミネーションによる影響が除外できるのであれば尿路感染
症が疑われます。
腎盂腎炎では、膿尿・細菌尿に加えCVA(肋骨脊柱角)の叩打痛(背部叩
打痛)、全身性炎症を疑わせる所見などが伴います。
膀胱炎では、排尿痛・頻尿・膿尿が三主徴です。血尿を認めることもありま
す。細菌尿が見られれば感染性の膀胱炎ということになります。
ケース3:尿培養検査にてProteus mirabilisが検出された。
Proteus mirabilisは代表的なウレアーゼ産生菌です。
このウレアーゼ産生菌が存在すると、尿素が分解されてNH4+(アンモニウム
イオン)が産生され尿はアルカリ性になります。するとリン酸マグネシウム・
アンモニウムが析出しやすくなります。そしてこれが腎盂で結石となることが
あり、これを二次結石と呼びます。一般に尿流の停滞が結石形成を促進します
が、尿路感染症をともなうとその可能性はさらに高くなります。
参考文献:井口正典(監):STEP泌尿器科学,海馬書店,2001