第七回
  第三の習慣「重要事項を優先する」
企 画 社団法人千葉県臨床検査技師会
協 力
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDソリューションBU コヴィーグループ

大事を小事の犠牲にしてはならない ‐ゲーテ‐

今回は概念的なものではなく、明日からでも直ぐに活用できる時間管理の手法、第三の習慣「重要事項を優先する」をご紹介します。

一日は限られた24時間。そしてその時間は誰にでも平等に与えられた貴重な資源です。しかしその時間がすべて自分で自由に使えるかというと・・・、なかなか難しいですね。自分の時間でありながら、他人も関わればその人の時間になることもあり、自由にコントロールすることは出来ません。

【時間って、いったい何?】
時間をクロノス時間、カイノス時間と分けて捉えることも出来ますが、時間そのものを実際に目で確認することは不可能です。しかし“時間とは出来事の連続体である”と定義することも可能です。そして二つの軸でその出来事を捉えることも出来ます。

出来事を緊急軸と重要軸で捉え、4つの分類をしています。

さて皆さん、日頃どの領域で時間を取られていますか?“緊急で重要”の第I領域?あるいは“緊急だが重要ではない”第III領域でしょうか?

職場では現場に近ければ近いほど第Iの方が多いようです。なかには第III領域に多くの時間を取られている方もいらっしゃることでしょう。IIIIが共通しているのは、緊急ということ、つまり、待ったなし!です。この中で過ごしていると、ある種の達成感は味わえますが、緊急中毒に冒され、ストレスは溜まり、肉体も疲れ果てます。そしてIIIIの仕事が終わると、さてさて・・・、何処に向かいますか?そこはIVではありませんか?我が家に帰り、あったかい湯船につかり、食事を摂りながらチョイト一杯、そしてテレビのザッピング・・・、その後は(__)Zzz

やがて太陽が昇り、“よーぉし、今日も頑張るぞ!”気分は元気になったかのよう・・・。再び仕事へ出掛け、またもや終日IIIです。夜はIVに逃げ込む。そんな繰り返しの方も多いのではないでしょうか?しかし本当にやるべきことは“緊急ではないけれど重要なこと“、第II領域です。

歯が痛くてどうしようもなくなった時はIです。我慢できなくて辛いですよね。さらに、治療にも時間や費用がかかり、イイこと無し、です。逆にIIの領域で定期検診さえしておけばこんな羽目にはなりません。千臨技のH/Pでは喫煙が如何に身体に悪影響を及ぼすかを述べています。肺がんにかかって余命幾ばくかは、健康維持の活動はIIです。仕事場でもIIの活動はたくさんあります。検査機器のメンテナンスもII、医療器具の事前チェックもIIです。さらに自分の技術や知識を身につけるのもII、ある日突然「君はこの職場では必要ないよ、進退を考えてくれないか?」なんてことになったら落雷のごとく第領域そのものです。お客様へのサービス、日頃からの人間関係作り、部下指導も・・・すべてIIの活動です。

【第II領域時間管理の鍵】
II領域の活動は心の安定をもたらします。そして何よりも、IIの予防・予知が出来ます。すると“緊急かつ重要“は次第に減ってきます。IIが大事なのは皆さん知っているのです。でも時間が無いから、さらにそれは緊急性を帯びてないから、解っててもやらない、やれない。じゃあ、IIをやるための時間を何処からもってきたらいいのでしょうか?それはIIIからです。IIIの活動にNO!と言うのです。でも人間関係が関わっている、他人からの期待も多い?ですから、No!なんて言ったら人間関係を壊しかねない。とても難しいですよね。ですから、このIIIの出来事を主体的にマネジメントし、コントロールすることが必要です。そうでないと逆に出来事にコントロールされてしまいます。コントロールの鍵は前々回のコラムでご紹介した自分のミッションです。ミッションは自分の大切なもの、自分にとって重要な判断基準、モノサシになってくれます。それに照らし合わせ自分のミッション達成に意義の無い活動や出来事なら、主体性を発揮してNO!と、言うことです。第II領域はミッションを実現へと導く、効果的な活動領域なのです。

ちなみに第IV領域は・・・、あえて無視します、誰でも無駄な領域だと解っているはずですから(苦笑)。

さて、皆さんの手帳に書かれているスケジュールはどうでしょうか?IIIが多いのでしょうか?先々襲ってきそうなを想定して、今は緊急ではないけれどやっておいた方がイイと思うこと、ひとつでのいいのでスケジュールに加えてみて下さい、そして一週間以上継続してみてください。第II領域の活動は時間を取らないものです。小さなことは、大きなことです。

何が大切なのかを明確にしていないから、
すべてのものが大切に見える。
すべてのものが大切に見えるから、
すべてのことをしようとしている。
周りの人はその姿を見て、
私たちがすべてをすることを期待してしまう。
すべてのことをしているから、
何が大切なのかを考える時間がない。

【人生の第二領域はこれからだ!】
先日私は『7つの習慣』研修の受講者アンケートに目を通していました。その中に「自分の人生が悔しくて仕方ない」と力強い文字で書かれたアンケートに目が止まり、どうしてもその方にお会いしたくなり、突然のアポイントを申し出ました。その方は某中堅製造メーカーの役員M氏。54歳、いわゆる団塊の世代です。M氏は40代後半まで一流商社に勤め、花形商社マンとして世界を股にかけて飛び回っていたそうです。仕事一筋で家庭は全く省みず、エリート街道まっしぐら!ところが気が付くとお子様は家庭内暴力を振るうようになり、奥様もうつ状態で家庭内はボロボロ、さらにご自身も体を壊されたそうです。そして50歳を目前にしたM氏は“これまで自分は何をしてきたのだろうか、何も残ってないじゃないか”と、仕事中心の人生を振返り愕然となり、突然上司に辞表を提出しエリートの道を手放したそうです。

“なんであんなに狂ったように走り回っていたんだろうかねぇ、人生の半分を無駄にしたよ”と、ワーカーホリックの過去を振返り、そして悔しがられていました。

現在のM氏は“大切なことを大切にする”をモットーに、全てに喜びを感じながら日々を送っていらっしゃるとのことでした。

A氏は「今、やっと人生の第二領域に入れそうですよ」と、やわらかい笑顔で語って下さいました。

  -------この内容は、フランクリン・コヴィー・ジャパン「7つの習慣」トレーニングプログラムに基づいて表現しています-------


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