設問 3

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

66歳、男性。肝炎の疑いで内科外来を受診した時の患者尿である。
尿沈渣中の矢印で示す成分について判定して下さい。
尿定性検査:pH 6.5  蛋白(1+)  糖(±) 潜血(±)  ビリルビン(3+)

設問 3-1 無染色400倍

設問 3-2 Sternheimer400倍

正解:上皮円柱
解説:写真に示す成分胞は、尿細管上皮細胞を封入した円柱で細胞を3個以上封入されているので上皮円柱である。 上皮円柱の出現過程の一つとして尿中に排尿される直接ビリルビンの影響がある。 閉塞性黄疸時、肝細胞性黄疸時に、肝臓でグルクロン酸抱合を受けた直接ビリルビンは本来の胆管ルートに流れず血中に流れ腎臓へ循環する。 腎毒性物質であるビリルビンが尿細管上皮細胞を刺激し障害された尿細管上皮細胞が剥離し、尿細管腔で詰まり尿流の停滞を引き起こし、円柱が形成され、再流が起こり写真のような(円柱内に尿細管上皮細胞が沢山封入された)円柱を多数出現させることがある。 またビリルビン色素による細胞色調変化が特徴的な所見であり、無染色で尿細管上皮細胞は黄金色に着色され、S染色では、本来赤紫色に染まる態度とは異なる赤褐色に染色される。

久代 真也(社会保険船橋中央病院)




回答集計 (参加98施設) 施設数
上皮円柱 86 87.8
尿細管上皮細胞 11 11.2
硝子円柱 1 1.0


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