Q&A No.2 単球様細胞の判定に関して

2015.10.27 検査研究班 血液検査研究班Q&A

Q:MDSからAMLに転化した症例です。blastとMonoのような細胞を撮りました。monoなんですが、とても幼弱なような気がいたします。画像でははっきりしませんが、核小体のあるものもあります。monoでカウントしていますが、かまわないでしょうか。マルク中にも多数みられ、末梢には、20%程度見られます。医師には、鏡見して頂きました。ご意見聞かせていただきたくお願い致します。

(経験年数11年 女性)

 

 

A千臨技Q&Aご質問ありがとうございます。MDSの急性転化となると慎重な判断が必要になります。さらに、鑑別によっては診断に直結するので、画像だけで判断することは控えたいと思います。質問の趣旨を変えて「単球系細胞の同定について」と変更した場合に解説をさせて頂きます。単球白血病における同定基準は2008年にJean E. Goasguenらによって同定基準が提示されました。その基準では単球系細胞は単芽球、前単球幼若単球、単球に分類され、核の形状、クロマチン、細胞質、細胞サイズやその他所見より分類されます。詳細な記載は下記の文献を参照して下さい。

 

Morphological evaluation of monocytes and their precursors:Haematologica. 2009 Jul;94(7):994-7

 

 あと、画像を参照すると背景に染色顆粒が散見します。水洗条件を見直すと、より観察しやすい標本となりますので、ご検討して下さい。

(順天堂大学医学部付属浦安病院 澤田 朝寛)

 

 

Q:染色ですが、小さな病院なので、20枚程度、シンクに棒を渡し、染めております。水洗がなかなかうまくいかないのが、現状ですが、一枚一枚洗い流さず、コップにて一気に流しています。一枚一枚流したほうが、良いのでしょうか。単球様細胞としておいたほうが、レポートとしてよいですか。お答えがたい事でしたらお返事、遠慮いたします。

 

Aまずは染色顆粒の件ですが、染色顆粒の主な原因はギムザ液に含まれているグリセリンが原因です。(ギムザ染色時に液面にキラキラ見える光沢のある膜です)このグリセリンは水面に浮く性質があるので、浮いたまま洗い流すと良いと思います。具体的には染色終了後に標本を動かさずに、端から徐々にギムザ液を追いやるイメージで洗浄すると良いと思います。完全にギムザ液と水が置換してから標本を立てて水切りをすると、きっと綺麗な標本が出来上がると思いますので、試してみて下さい。単球様細胞の件ですが、どの細胞を 単球様細胞とするかは臨床医と相談して決定することが望ましいです。以上、よろしくお願いします。

(順天堂大学医学部付属浦安病院 澤田 朝寛)